Sitrom-CC活用術

工事未払金とは?買掛金・未払金との違いと、仕入から支払までの仕訳

2026/11/5 09:31

工事未払金とは?――工事の原価のうち、まだ支払っていない額

工事未払金(こうじみはらいきん)とは、工事にかかった材料費・労務費・外注費・経費のうち、まだ仕入先や協力会社へ支払っていない額を計上しておく建設業会計の勘定科目です。決算書では流動負債に区分されます。一般の会計でいえば「買掛金」にあたります。

建設業では、協力会社から月末締めで請求を受け、翌月や翌々月に支払う、という流れが一般的です。原価が発生した時点で工事未払金を立てておけば、支払がまだでも、その工事の原価と支払うべき額を同じ月に押さえられます。 支払ったときに工事未払金を減らします。

買掛金・未払金との違い

支払っていない代金を表す科目は、何に対する支払かで呼び分けます。

  • 工事未払金 … 工事の原価(材料費・労務費・外注費・経費)の未払い。建設業会計で使う科目です
  • 買掛金 … 一般の会計で、本業の商品・材料の仕入代金の未払い。工事未払金はこれの建設業版にあたります
  • 未払金 … 本業の原価以外の未払い。事務用品・車両・機械の購入、事務所の経費など

建設業の決算書の様式でも、貸借対照表の流動負債に工事未払金が独立した科目として置かれています。ただ、日々の記帳で工事の仕入を工事未払金にするか買掛金にするかは会社によって違い、材料と外注で科目を分ける会社もあります。

仕訳の流れ

協力会社に外注した工事の代金を、月末締め・翌月払いで支払う場合の例です(工事の原価を未成工事支出金に積む会社の場合)。

  • 協力会社から請求を受け、原価を計上したとき
    (借)未成工事支出金 ××× / (貸)工事未払金 ×××
  • 支払日に振り込んだとき
    (借)工事未払金 ××× / (貸)普通預金 ×××
  • 一部を手形で支払ったとき
    (借)工事未払金 ××× / (貸)支払手形 ×××

支払のときには、振込のほかに、協力会費や源泉所得税の預り、立替金の相殺、取り決めによって後から支払う保留金など、差し引くものが加わることがあります。いずれも工事未払金をどの手段で消したかの内訳なので、支払った額の合計と、消した工事未払金の額が一致していることが大切です。 工事の原価を未成工事支出金を通さずに直接計上する会社では、借方が外注費・材料費などの原価の科目になります(未成工事支出金とは)。

支払の期日にも決まりがある

協力会社への下請代金には、建設業法で支払の期限が定められています。たとえば元請が発注者から出来高や完成の代金を受け取ったときは、その下請工事の分を 1 か月以内のできるだけ短い期間で支払うこととされ、特定建設業者が一定の規模に満たない下請に発注した工事では、引渡しの申出から 50 日以内に支払期日を定めることとされています。工事未払金を、どの協力会社に・いつまでに・いくら払うかで管理しておく必要があるのはこのためです。詳しくは国土交通省の建設業法令遵守ガイドラインなどをご確認ください。

Sitrom-CCでの工事未払金の扱い

■仕入伝票で、工事ごとに未払を立てる

Sitrom-CCでは、仕入伝票や外注の受入を、工事を指定して入力すると、工事仕訳マスタの設定に沿って(借)未成工事支出金(費目ごと) / (貸)工事未払金 の仕訳が作られます。貸方を工事未払金で受けるか、一般の会計の買掛金で受けるかは、会社ごとの勘定科目と工事仕訳マスタの設定で決まります。

業者を選ぶと、業者マスタの決済条件(支払月数・支払日・手形の割合など)を引き継ぎ、計上日から支払予定日が自動で計算されます。

■支払査定から支払伝票まで、工事ごとの未払を消していく

支払査定の画面で、支払予定日と業者区分を指定して、承認済みの仕入伝票を業者・工事ごとに集計します。支払を確定すると、保留金・控除・協会費・源泉税・手形・振込手数料などが業者マスタの設定に沿って計算され、支払伝票がまとめて作られます(流れは支払査定とはでご説明しています)。

支払伝票の仕訳は、借方に仕入のときの未払の科目を工事ごとに引き継ぎ、貸方に預金・支払手形・保留金・協会費などを立てます。どの工事の未払を、どの手段で消したかが仕訳に残ります。

■残高を、業者ごとに確かめる

買掛金残高一覧表では、業者ごとに 1 行で、当月の仕入高・支払高、手形、未払金・工事未払金・設備未払金・買掛金の各残高、当月末の残高を並べて Excel に出力できます。支払一覧表では、支払予定日を指定して業者ごとの支払予定額を一覧にできます。月末に「どの業者に、いくら残っているか」を、伝票から積み上げた数字で確かめられます。

会社ごとに違う工事未払金の扱いと、Sitrom-CCのカスタマイズ

工事未払金の考え方は共通でも、どの科目に分けて立てるか、何を元に未払を立てるか、手形や期日払いをどう扱うかは、会社の取引先との取り決めや会計の方針によって違います。Sitrom-CCで実際に作り込んできた例を、架空の会社に置き換えてご紹介します。

■A社(材料と工賃で未払の科目を分ける)――業者ごとに未払の科目を持たせる

工事未払金を「材料」と「工賃」に分けて管理し、工事に関係しない業者への支払は未払金で受ける会社です。A社向けには、業者マスタに業者ごとの未払の科目を持たせ、仕入伝票で業者を選ぶと、貸方の科目がその業者の科目に自動で入るようにしました。伝票ごとに科目を選ぶ手間と、選び間違いを減らせます。

■B社(協力会社の作業員の出面から外注費を払う)――日報から集計して、まとめて未払を立てる

協力会社の作業員が現場に出た日数・時間をもとに、外注費を支払う会社です。B社向けには、日報に入った協力会社の作業員の労務外注費を、期間と業者を指定して集計し、工事ごとの行を持つ仕入伝票(貸方は工事未払金)をまとめて作れるようにしました。集計し直したときは前回作った伝票を消してから作り直すので、同じ外注費が二重に立ちません(出面の記録については出面とはでご説明しています)。

■C社(手形の代わりに、期日に振り込む取引先がある)――期日払いの未払を台帳で管理する

手形を発行する代わりに、決めた期日にまとめて振り込む「期日払い」で支払う取引先がある会社です。C社向けには、支払を確定するときに、手形にあたる分を期日払いの未払へ振り替える仕訳と、いつ・いくら払うかの台帳を、同じ処理の中で作るようにしました。仕訳だけが立って台帳に載らない、という食い違いが起きません。

このほか、取引先ごとの工事未払の残高を、社内で使ってきた Excel の様式どおりに月別で出力する形にも対応してきました。業務の進め方は会社ごとに違うので、Sitrom-CCは標準の機能をそのまま押し付けず、貴社のやり方に合わせて画面・帳票・計算を作り込みます。いまの支払の取り決めや記帳の流れを、お問い合わせよりお聞かせください。

関連する用語

  • 支払査定とは … 協力会社への支払額を決め、工事未払金を消す支払伝票を作る処理
  • 未成工事支出金とは … 工事未払金と同時に立つ、完成前の工事の原価を積んでおく科目
  • 未成工事受入金とは … 完成前の工事について、発注者から受け取った代金
  • 出来高とは … 協力会社へ進み具合に応じて支払うときの根拠になる数字
  • 建設業ERPとは … 発注・仕入・支払と工事の原価を、1 つの流れでつなぐ統合業務システム

いまお使いの支払の Excel や、協力会社ごとの取り決めをどう移すかのご相談は、お問い合わせより承ります。

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