Sitrom-CC活用術

未成工事支出金とは?仕訳の流れと、工事が完成したときの振替

2026/10/25 19:01

未成工事支出金とは?――完成前の工事にかかった原価を積んでおく科目

未成工事支出金(みせいこうじししゅつきん)とは、まだ完成・引渡しをしていない工事にかかった費用(材料費・労務費・外注費・経費など)を、資産として計上しておく建設業会計の勘定科目です。決算書では流動資産に区分されます。製造業でいえば「仕掛品」にあたります。

工事が完成して売上(完成工事高)を計上するときに、それまで未成工事支出金に積んできた額を完成工事原価へ振り替えます。売上と、その売上を生むためにかかった原価を、同じ期に対応させるための仕組みです。

対になる科目に未成工事受入金があります。こちらは、完成・引渡し前に発注者から受け取った工事代金(前受金にあたるもの)で、負債に区分されます。

仕訳の流れ

工事の完成・引渡しの時点で売上と原価を計上する処理(工事完成基準)の場合、仕訳は次のように流れます。

  • 材料を仕入れたとき・外注費を計上したとき
    (借)未成工事支出金 ××× / (貸)工事未払金 ×××
  • 工事が完成したとき
    (借)完成工事原価 ××× / (貸)未成工事支出金 ×××

決算日の時点で完成していない工事の原価は、未成工事支出金として翌期へ繰り越されます。期をまたぐ工事が多い建設業では、期末にどの工事にいくら残っているかを工事ごとに説明できることが大切です。

費目ごとに分けて積む理由

建設業の決算書類の一つである完成工事原価報告書では、完成工事原価を材料費・労務費・外注費・経費に分けて示します。未成工事支出金を 1 つの科目にまとめて積んでいると、完成したときに、どの費目の原価だったのかを別の資料から組み立て直すことになります。積むときから費目ごとに分けておけば、完成時の振替でそのまま費目別の原価になります。

Sitrom-CCでの未成工事支出金の扱い

■伝票から、工事ごとの仕訳を作る

Sitrom-CCでは、仕入伝票・出金伝票などを工事を指定して入力すると、工事仕訳マスタの設定に沿って仕訳が作られます。原価を費目ごとの未成工事支出金に積むか、完成工事原価に直接計上するかは、会社ごとの勘定科目と工事仕訳マスタの設定で決まります。

■完成した月に、まとめて振り替える(工事完成振替)

工事完成振替の画面で対象月を選ぶと、完成日がその月に入っている工事について、未成工事支出金の対象月末の残高を、費目ごとに完成工事原価へ振り替える仕訳をまとめて作ります。

  • 振り替える額は、帳簿に残っている未成工事支出金の残高そのものです。実行予算のような見込みの数字は使いません
  • 残高のある費目の数だけ仕訳が作られ、振替後の未成工事支出金は 0 になります
  • 振替を済ませた工事は「振替済み」と表示され、同じ工事に二重に作られることはありません
  • 社内での科目の付け替えなので、消費税は動きません(不課税)

売上側(完成工事高への振替)も同じ画面で扱えます。売上側・原価側のどちらを使うかは、会社ごとに設定できます。進み具合に応じて売上を計上する工事については工事進行基準とはで説明しています。

■決算は財務会計ソフトで

Sitrom-CCで作った仕訳は、財務会計ソフトへデータとして渡して決算を行います。これまでに勘定奉行、弥生会計、マネーフォワードの各財務会計向けのデータ出力に対応してきました。つながるかどうかは、データの項目と受け渡しの方法を確かめたうえで個別に判断します(外部連携の記事)。

会社ごとに違う未成工事支出金の扱いと、Sitrom-CCのカスタマイズ

未成工事支出金の考え方は会計の決まりとして共通ですが、日々の伝票でどこまで積むか、月末や完成時にどう振り替えるか、決算のためにどんな資料を出すかは、会社の規模や会計ソフト、顧問の先生の方針によって違います。Sitrom-CCで実際に作り込んできた例を、架空の会社に置き換えてご紹介します。

■A社(部門ごとに売上の種類が違う中堅の会社)――受入金も原価も、完成月に費目ごとに振り替える

工事の代金を請求した時点ではいったん未成工事受入金で受け、完成した月に売上へ振り替える会社です。A社向けには、完成月に、未成工事受入金を工事の売上区分(工事・作業など)に応じた売上の科目へ振り替え、原価も監督の給与まで含めて 40 余りの費目ごとに未成工事支出金から完成工事原価へ振り替えるようにしました。作った仕訳は、部門の区分を付けたまま、お使いの財務会計ソフトの取込形式で出力します。

■B社(日々は原価で計上し、月末に仕掛を立てる)――月末に仕掛を計上し、翌月 1 日に戻す

日々の仕入は原価として計上しておき、月末にまだ完成していない工事の分だけを未成工事支出金に振り替える会社です。B社向けには、月末の仕掛の計上と翌月 1 日の戻しの仕訳を、工事ごとに自動で作るようにしました。さらに、自社で使う建物などを建てる工事だけは、未成工事支出金ではなく建設仮勘定に計上します。同じ「完成していない工事」でも、行き先の科目を工事の性格で分けられます。

■C社(売上は請求のたびに計上し、旧システムから移ってきた)――完成振替は原価だけにする

請求の時点で完成工事高を計上する運用を、旧システムのころから続けている会社です。C社向けには、完成振替で原価の側だけを動かす設定にして、売上が二重に計上されないようにしました。勘定奉行へ仕訳を渡すときは、出力のたびに記録を残し、奉行側で取り込まれた件数・金額と一致したものを「受領済」として管理できるようにしています。

■D社(決算で、仕掛の内訳を説明する資料が要る)――未成工事支出金の内訳表を出す

振替の仕組みそのものより、決算の棚卸の根拠資料として「どの工事に、どの費目で、いくら残っているか」を出したい会社です。D社向けには、指定した月の時点でまだ売上にしていない工事の原価を、材料・労務・外注・経費の別に並べた未成工事支出金の表と、年度末の仕掛工事の一覧を Excel で出力できるようにしました。

業務の進め方は会社ごとに違うので、Sitrom-CCは標準の機能をそのまま押し付けず、貴社のやり方に合わせて画面・帳票・計算を作り込みます。どの方法で記帳するかは顧問の会計士・税理士とご相談のうえで、決まった方針に合わせてSitrom-CCを設定・作り込みます。いまの記帳の流れを、お問い合わせよりお聞かせください。

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