支払査定とは?協力会社への支払額を決める流れと、保留金・手形・相殺の計算
支払査定とは?――請求をそのまま払わず、支払う額を決める
支払査定(しはらいさてい)とは、協力会社や資材の仕入先から届いた請求の内容を確かめ、その月に支払う金額を決める処理です。建設業では、毎月の締め日までの請求を工事ごとに確かめ、支払日に向けて支払額を確定させる、という流れで行うのが一般的です。
「査定」と呼ぶのは、請求された金額をそのまま払うのではなく、注文した内容と、実際に済んだ作業・納品された物に照らして、支払う額を決めるからです。進み具合に応じて支払う工事では、協力会社が申請した出来高を元請が確かめる「出来高査定」が、支払査定の前段になります(出来高とは)。
支払額が請求額と一致しない理由
支払査定で決める金額は、請求額そのままにはなりません。会社や協力会社との取り決めによって、次のような調整が入ります。
- 保留金 … 工事の完了まで、支払の一部を留め置いておく取り決め。完了後などに解除して支払う
- 相殺・控除 … 元請が立て替えた費用や、元請から支給した材料の代金などを、支払額から差し引く
- 協力会費など … 取り決めにもとづいて、支払額から差し引く会費
- 源泉税 … 個人で請け負う職人(いわゆる一人親方)への支払など、源泉徴収が必要な場合に差し引く
- 手形と現金の割合 … 支払の一部を手形で行う取り決めがある場合に、金額を手形分と振込分に分ける
- 振込手数料 … 先方負担か当方負担かの取り決めにより、差し引くかどうかが変わる
協力会社ごとに取り決めが違い、しかも毎月同じ計算を繰り返すため、Excel で管理していると計算式の壊れや、取り決めの反映漏れが起きやすい業務です。
Sitrom-CCでの支払査定の扱い
■承認済みの仕入伝票を、業者ごと・工事ごとに集計する
Sitrom-CCの支払査定では、支払予定日と業者区分を指定して集計すると、その支払予定日の仕入伝票が、業者ごと・工事ごとにまとまって表示されます。業者ごとに当月の仕入額(税抜・消費税・税込)が並び、明細から元の仕入伝票を確かめられます。
集計の対象は承認済みの仕入伝票だけです。未承認の伝票が残っていると集計は中断され、メッセージで知らされます。承認の済んでいない請求が、知らないうちに支払に混ざることはありません。集計した内容は一時保存しておき、確かめてから査定を実行できます。
■支払確定で、保留金・控除・手形・手数料を計算する
査定を実行すると、支払確定の画面で業者ごとの支払額を計算します。当月の仕入額から、保留金の発生・解除、控除伝票による控除、協会費、源泉税を反映し、手形の分割計算と、手形郵送料・振込手数料を差し引いて振込額を求めます。
保留金の比率や端数の扱い、協会費、振込手数料の負担区分、手形の条件などは、あらかじめ業者マスタに登録しておくと自動で計算されます。自動計算の結果は、画面で手で直すこともできます。内容が決まったら、業者ごとの支払伝票をまとめて作成します。
■工事の原価とつながったまま支払う
支払査定で集計する仕入伝票は、工事を指定して登録できます。同じ伝票が、工事ごとの原価(請求基準)として工事台帳にも集計されるので、支払のために別の集計表を作り、工事の原価と照らし合わせ直す必要はありません(日報基準と請求基準の記事)。
会社ごとに違う支払の決め方と、Sitrom-CCのカスタマイズ
支払査定は、協力会社とどんな取り決めをしているかがそのまま計算に出る業務です。手形を使うか、保留金を取るか、どの会費を差し引くか、どの銀行のどの形式で振り込むかは、会社ごとに違います。Sitrom-CCで実際に作り込んできた例を、架空の会社に置き換えてご紹介します。
■A社(手形での支払をやめ、期日払いへ切り替える)――支払方法の変更に合わせて台帳と仕訳を作る
協力会社への支払を手形から「期日払い」(支払日から決まった月数の後に振り込む)へ切り替える会社です。A社向けには、支払伝票を作るのと同じ処理の中で期日払いの台帳を作り、支払手形から未払金への科目の振替も同時に立てるようにしました。どちらかだけが作られて、帳簿と台帳が食い違うことはありません。支払通知書も、手形の送付のご案内を外し、期日払いの支払日を載せる形に変えています。
■B社(専門工事。協力会社の多くが職人の会に入っている)――会費の差し引き方ごとに通知書を分ける
安全協力会の会費に加えて、職人の会の会費を人数分差し引く協力会社がある会社です。B社向けには、支払通知書を「安全協力会費だけの様式」と「職人の会の会費もある様式」の 2 種類に分け、会費は「1 人あたりの額 × 人数」で載せるようにしました。振込は、支払日を選ぶとその日の支払伝票から、取引銀行へ渡す固定長の振込データ(FB データ)を作ります。
■C社(保留金を多く使い、旧システムの帳票で確かめてきた)――保留金の残高と解除を一覧で出す
工事の完了まで支払の一部を保留金として留め置く取引が多く、旧システムの帳票で毎月確かめてきた会社です。C社向けには、支払査定の画面から、請求の一覧・保留金の残高・保留金の解除・支払予定の状況などを 1 冊の Excel にまとめて出せるようにしました。当月に差し引く額には、預り金や受取賃料といった会社独自の科目も含めて集計します。
■D社(外注の工賃を部門ごとに査定する)――査定の申請から工賃の伝票を作る
協力会社の工賃を、部門ごとに査定して承認する会社です。D社向けには、部門ごとの査定を申請すると、その内容で工賃の伝票が自動で作られるようにしました。申請した後に直すときは「引き戻して、直して、申請し直す」の手順だけにして、承認済みの金額が知らないうちに変わらないようにしています。部門ごとの外注工賃の支払依頼書も出力できます。
業務の進め方は会社ごとに違うので、Sitrom-CCは標準の機能をそのまま押し付けず、貴社のやり方に合わせて画面・帳票・計算を作り込みます。協力会社との取り決めや、いま使っている支払通知書の様式を、お問い合わせよりお聞かせください。
関連する用語
- 出来高とは … 進み具合に応じた支払の根拠になる数字
- 出面とは … 常用で協力会社に来てもらうときの支払の根拠
- 未成工事支出金とは … 支払った工事の原価を、完成まで積み上げておく勘定科目
- 実行予算とは … 支払った原価と比べる計画値
いまお使いの支払査定の Excel や、協力会社ごとの取り決めをどう移すかのご相談は、お問い合わせより承ります。