Sitrom-CC活用術

実行予算とは?見積との違いと、工事ごとに予算と実績を並べて見る方法

2026/10/25 19:05

実行予算とは?――受注した工事を「いくらで仕上げるか」の計画

実行予算(じっこうよさん)とは、受注した工事を実際にいくらの原価で施工するかを、工種や費目(材料費・労務費・外注費・経費など)ごとに見積もった原価の計画値です。現場の担当者が施工計画をもとに組み、工事の原価管理は、この実行予算を物差しにして「予算に対して、いまいくら使ったか」を見ていきます。

請負金額から実行予算を差し引いたものが、その工事で見込む利益になります。つまり実行予算は、原価の目標であると同時に、受注した時点で工事の採算を確かめるための数字でもあります。

見積(見積原価)との違い

見積は、受注する前に発注者へ示す金額と、その裏づけになる原価の積算です。これに対して実行予算は、受注が決まったあとで、実際の施工方法・仕入先・協力会社・工程を踏まえて組み直した原価です。同じ工事でも、見積のときの原価と実行予算は一致しないのが普通です。

  • 見積 … いくらで受けるかを決める数字(受注前)
  • 実行予算 … いくらで仕上げるかを決める数字(受注後)

工事が進むと、設計変更や追加工事、仕入れ値の変動などで実行予算を見直すことがあります。このとき最初の予算を上書きしてしまうと、どこで計画がずれたのかが後から追えなくなります。 当初の予算と変更後の予算を、どちらも残しておくことが要点です。

実行予算と並べて見るもの

実行予算は、作っただけでは役に立ちません。工事が進むにつれて、次の 3 つと並べて見ることで意味を持ちます。

  • 発注 … 予算に対して、どこまで発注が済んでいるか。発注済みの金額は、請求書が届く前でも、もう戻ってきません
  • 原価 … 予算に対して、どこまで原価が発生しているか
  • 出来高 … 予算に対して、作業がどこまで進んでいるか

たとえば「原価は 8 割使ったのに、作業は 6 割しか進んでいない」と分かれば、予算超過に早めに気づけます。原価の進み具合と作業の進み具合は別のものなので、片方だけを見ていると見落とします(作業の進み具合については出来高とはで説明しています)。

Sitrom-CCでの実行予算の扱い

■工事ごとに組み、変更のたびに版を分けて残す

Sitrom-CCの実行予算は、工事ごとに、区分・工種などの階層で組み、明細に数量・単価・金額を入力します。別の工事や別の版の実行予算をコピーして作り始めることもできます。

予算を見直すときは「新規変更予算」として新しい版を作ります。最初の版は「当初予算」、その後の版は「第N回変更予算」として残り、画面で版を切り替えて見比べられます。新しい版を作ると、それまでの版は編集できなくなります。 当初の予算が後から書き換わらないようにするためです。版を改めても、それまでに入力した日報の実績は新しい版に引き継がれます。

■予算の横に、出来高・原価・発注を並べる

実行予算の画面では、明細の行ごとに、予算の数量・単価・金額の横へ次の数字を並べて表示します。

  • 出来高 … 出来高の数量と、予算数量に対する進捗率
  • 原価 … 日報から積み上げた原価と、予算に対する進捗率・損益
  • 発注 … 発注額・発注残高(予算金額 − 発注額)・仕入額

「この工種はあといくら発注できるか」「どの明細が予算を超えそうか」を、別の資料を作らずに確かめられます。

■工事台帳・帳票で見る

工事台帳では、受注金額・請求金額・実行予算・原価合計・作業出来高を 1 つの画面に並べ、費目ごとに予算・発注額・原価(日報)・原価(請求)を比べられます。日報基準と請求基準の違いは日報基準と請求基準の記事でご紹介しています。

実行予算は「実行予算書」として Excel に出力できます。いまお使いの Excel の様式から実行予算を取り込みたい場合は、別途カスタマイズで対応します。

会社ごとに違う実行予算の組み方と、Sitrom-CCのカスタマイズ

実行予算が「工事の原価の計画」であることはどの会社でも同じですが、誰が・どの様式で・どこまで細かく組み、誰の承認で確定させるかは会社によって大きく違います。ここでは、Sitrom-CCで実際に作り込んできた例を、架空の会社に置き換えてご紹介します。

■A社(官公庁の土木工事が中心)――役所の積算様式から予算を作る

公共工事では、発注者の積算に沿った原価計算書と見積内訳書を作るところから予算づくりが始まります。A社向けには、役所の様式どおりの「原価計算書」「見積内訳書」「見積書」を 1 つの画面で作れるようにし、原価計算書を保存すると、その金額が費目ごとに工事台帳の予算へ反映されるようにしました。入札のために積んだ数字を、受注後に実行予算として打ち直す手間がなくなります。

■B社(発電所などプラントの定期修理)――使い慣れた Excel の予算ブックを読み込む

長年使ってきた Excel の予算ブックが現場に根づいている会社です。B社向けには、その予算ブックをそのまま読み込む取り込みを作りました。読むのは人が入力したセルだけで、Excel が数式で出していた工量・人工・金額は、システム側が同じ式で計算し直します。現場は慣れた様式のまま予算を組み、数字の正しさはシステムが受け持ちます。

■C社(部門を複数持ち、予算を稟議で決める)――監督・所長・会社の 3 段で予算を決める

現場の監督が組んだ予算を所長が見直し、最後に会社として「指示原価」を決める――と、予算が 3 段階で決まる会社です。C社向けには、稟議の画面に「監督予算」「所長予算」「指示原価」を並べて、どの段階でいくら動いたかが分かるようにしました。過去の工事の予算をコピーして作るときは、所経費・本社経費を「受注額 × 今期の部門別の経費率」で計算し直すので、昔の経費率のまま予算が組まれることもありません。

■D社(設計・エンジニアリングが中心で、承認の段階が多い)――別のシステムの承認の流れを移す

予算を勘定科目ごとに大まかに組み、施工計画の責任者・工事本部長・社長と何段階もの承認を通す会社です。D社向けには、勘定科目単位の「簡易実行予算」と、それまで別のシステムで回していた承認の流れ(差戻しを含む)を、そのままSitrom-CCへ移しました。工事の区分によって、途中から承認の経路が分かれる形にも合わせています。

このほか、社内で統一している実行予算書の Excel や、他のシステムから出した CSV を取り込む形にも対応してきました。業務の進め方は会社ごとに違うので、Sitrom-CCは標準の機能をそのまま押し付けず、貴社のやり方に合わせて画面・帳票・計算を作り込みます。いまの予算の組み方や承認の流れを、お問い合わせよりお聞かせください。

関連する用語

  • 出来高とは … 作業の進み具合を金額・数量で表したもの
  • 出面とは … 現場に出た作業員の記録。労務費として実行予算と比べる原価になります
  • 支払査定とは … 協力会社への支払額を決める処理
  • 工事進行基準とは … 実行予算を分母にして進み具合を測る売上計上の考え方
  • 番割とは … 現場の人員配置の予定表

実行予算の組み方や、いまお使いの様式をどう移すかのご相談は、お問い合わせより承ります。

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