Sitrom-CC活用術

未成工事受入金とは?前受金・完成工事未収入金との違いと、完成したときの振替

2026/11/5 09:30

未成工事受入金とは?――完成前の工事の代金を「預かり」として持つ科目

未成工事受入金(みせいこうじうけいれきん)とは、まだ完成・引渡しをしていない工事について、発注者から受け取った(または請求した)工事代金を計上しておく建設業会計の勘定科目です。着手金・中間金・公共工事の前払金などがこれにあたります。決算書では流動負債に区分されます。

工事が完成するまでは、受け取ったお金はまだ売上ではありません。引き渡す義務を負ったまま代金だけを先に受けている状態なので、発注者からの「預かり」として負債に置いておき、完成して売上(完成工事高)を計上するときに振り替えます。 一般の会計でいえば「前受金」にあたります。

対になる科目が未成工事支出金です。こちらは完成前の工事にかかった原価を資産として積んでおく科目で、未成工事受入金とあわせて見ると、その工事に「先にお金が入っているのか、持ち出しになっているのか」が分かります。

前受金・完成工事未収入金との違い

工事代金にかかわる科目は、工事が完成しているかどうかと、お金を受け取ったかどうかで呼び分けます。

  • 未成工事受入金 … 完成前の工事について、受け取った(または請求した)代金。負債
  • 完成工事未収入金 … 完成・引渡しを済ませたのに、まだ受け取っていない代金。資産。一般の会計の「売掛金」にあたります
  • 前受金 … 一般の会計で、商品やサービスを渡す前に受け取った代金。建設業の工事代金の前受けは、未成工事受入金で表すのが一般的です

建設業の決算書の様式でも、貸借対照表に未成工事受入金・完成工事未収入金・未成工事支出金がそれぞれ独立した科目として並びます。工事の代金と原価を、完成の前と後で分けて示すためです。

仕訳の流れ

工事の完成・引渡しの時点で売上を計上する場合(工事完成基準)、仕訳は次のように流れます。

  • 着手金・中間金を受け取ったとき
    (借)現金預金 ××× / (貸)未成工事受入金 ×××
  • 工事が完成・引渡しをしたとき
    (借)未成工事受入金 ×××・完成工事未収入金 ××× / (貸)完成工事高 ×××
  • 残りの代金を受け取ったとき
    (借)現金預金 ××× / (貸)完成工事未収入金 ×××

決算日の時点で完成していない工事の受入金は、売上にせず未成工事受入金のまま翌期へ繰り越します。消費税も、受け取った時点ではなく、原則として工事を引き渡した時点で課税の売上になります。

工事進行基準・収益認識基準での扱い

工事の進み具合に応じて売上を計上する場合(工事進行基準)は、完成を待たずに売上を立てるので、計上した売上と受け取った代金の関係を毎期確かめることになります。受け取った額のほうが多ければ、その差は未成工事受入金として負債に残り、計上した売上のほうが多ければ、その差は資産になります。収益認識基準では、前者を「契約負債」、後者を「契約資産」と呼びます。

どちらの基準で売上を計上するか、受入金と売上をどう相殺して表示するかは、会社の規模や顧問の先生の方針によって決まります。具体的には顧問の会計士・税理士にご確認ください。

Sitrom-CCでの未成工事受入金の扱い

■請求を、未成工事受入金で受ける

Sitrom-CCでは、完成前の工事の請求(売上)を計上すると、(借)完成工事未収入金 / (貸)未成工事受入金 の仕訳が工事ごとに作られます。完成工事高へ直接計上するか、未成工事受入金を通すか、請求した代金をどの科目で持つかは、会社ごとの勘定科目と工事仕訳マスタの設定で決まります。

工事一覧や帳票の「売上済額」は、未成工事受入金と完成工事高の両方を集計の対象にしているので、完成振替の前と後で金額が変わりません。

■請求より先の入金は前受金で受け、請求のときに充てる

請求をまだ立てていない工事に入金があったときは、前受金として登録します(売上の無い工事に前受金以外で入金を登録しようとすると、「売上が無いため前受金として計上してください。」と止まります)。後からその工事の請求を立てると、前受金の残りが自動で充てられ、消込の伝票が作られます。先に受け取ったお金が、どの請求に充たったかを後から追えます。

■完成した月に、まとめて完成工事高へ振り替える(工事完成振替)

工事完成振替の画面で対象月を選ぶと、完成日がその月に入っている工事について、それまでに計上した請求の額を、工事・得意先ごとに未成工事受入金から完成工事高へ振り替える仕訳をまとめて作ります。原価側(未成工事支出金から完成工事原価への振替)も同じ画面で扱え、売上側・原価側のどちらを使うかは会社ごとに設定できます(原価側は未成工事支出金とはでご説明しています)。

■工事台帳で、請求と入金を並べる

工事台帳には、受注金額・請求金額・入金金額が実行予算や原価と並んで表示されます。「この工事はいくら請求し、いくら回収できているか」を、工事ごとに 1 つの画面で確かめられます。

会社ごとに違う未成工事受入金の扱いと、Sitrom-CCのカスタマイズ

未成工事受入金の考え方は会計の決まりとして共通ですが、請求・入金のどの時点で受入金に積むか、前受けをいつ消し込むか、決算でどんな資料を出すかは、売上の計上方法や会計ソフト、顧問の先生の方針によって違います。Sitrom-CCで実際に作り込んできた例を、架空の会社に置き換えてご紹介します。

■A社(大きな工事を進行基準で計上する)――受入金の残高を先に充て、超えた分を契約資産にする

毎月末に、工事の出来高の累計を進行基準の売上として計上する会社です。A社向けには、工事ごとに「出来高の累計」と「未成工事受入金の残高」を比べ、受入金の残高までは受入金を充て、それを超えた分だけを契約資産として計上する仕訳を作るようにしました。月末の計上は翌月 1 日に全額を戻す形にしてあるので、毎月その時点の累計で計上し直せます。

■B社(締め日ごとに仮の売上を計上する)――仮の売上と一緒に、前受金の消込も作る

完成を待たずに、締め日ごとに工事の仮の売上を計上している会社です。B社向けには、仮の売上を計上するときに、その工事にまだ充てていない前受金があれば、その分を消し込む入金の伝票も一緒に自動で作るようにしました。前受金が残ったまま売上だけが積み上がる、という食い違いが起きません。

■C社(取引先ごとの残高を、社内の Excel の様式でまとめている)――いつもの様式で受入金の一覧を出す

取引先ごとの債権・債務の残高を、社内で使ってきた Excel の様式でまとめている会社です。C社向けには、未収・受取手形・工事未払・支払手形・受入金のシートを持つその様式のまま、取引先ごとに期首の残高と月ごとの売上・入金を並べた一覧を、Sitrom-CCの伝票から出力できるようにしました。手で集計し直す手間がなくなります。

■D社(工事ごとの利益を、完成前から見たい)――利益分析の表に、受入金と未収入金の列を並べる

完成前の工事も含めて、工事ごとの利益と代金の回収状況を一覧で確かめたい会社です。D社向けには、工事ごとの利益分析の Excel に、受注金額に応じた計上の区分(進行基準・完成基準)と、未成工事受入金・完成工事未収入金の列を並べました。金額は表の中の式で求める形にしてあるので、経理の担当者が数字の出どころを Excel の上で追えます。

業務の進め方は会社ごとに違うので、Sitrom-CCは標準の機能をそのまま押し付けず、貴社のやり方に合わせて画面・帳票・計算を作り込みます。どの方法で記帳するかは顧問の会計士・税理士とご相談のうえで、決まった方針に合わせてSitrom-CCを設定・作り込みます。いまの請求・入金と記帳の流れを、お問い合わせよりお聞かせください。

関連する用語

  • 未成工事支出金とは … 完成前の工事の原価を積んでおく、未成工事受入金と対になる科目
  • 工事未払金とは … 工事の原価のうち、まだ協力会社・仕入先へ支払っていない額
  • 工事進行基準とは … 工事の進み具合に応じて売上を計上する会計処理
  • 出来高とは … 工事の進み具合を金額・数量で表したもの。出来高払いの請求の根拠になります
  • 建設業ERPとは … 請求・入金から会計への仕訳までを、工事を軸に 1 つの流れでつなぐ統合業務システム

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