Sitrom-CC活用術

建設業の月次決算が遅いのは「集計」のせいではありません。締めが止まる5つの地点

2026/9/9 19:00

月初、経理の机の上で月次決算が止まる。理由をうかがうと「集計に時間がかかるから」というお答えが返ってくることがよくあります。ところが実際に工程を分解してみると、手が動いていない「待ち時間」が大半を占めている、というのが建設業ではめずらしくありません。

工事は、着工から完成までお金の出入りが何か月にもまたがります。しかも費用が発生する場所は現場に散っていて、金額が確定するタイミングもばらばらです。だからこそ、どこで止まっているのかを先に特定しないと、人を増やしても締めは早くなりません。

この記事では、建設業の月次締めが止まりやすい 5 つの地点を挙げ、自社のどこで止まっているかを確かめる確認表をご用意しました。Sitrom-CCをお使いかどうかにかかわらず、そのまま社内の点検にお使いいただけます。

日報・請求書・二重入力・振り分け・差異確認の5つの情報が、月次締めのボトルネックを通って集約される流れ
月次締めを遅らせる5つの詰まりを、ひとつずつ見える状態へ整えます。

締めが遅い会社は、「作業」ではなく「待ち」で止まっています

月次決算の工程は、大きく 3 つに分けられます。

  1. 集める — 現場の日報・出面、協力会社や仕入先の請求書、立替経費
  2. 揃える — 工事・部門・費目への振り分け、原価と会計の突き合わせ
  3. 確かめる — 予算との差異、前月からの変化、報告資料の作成

このうち、担当者が実際に手を動かしているのは 2 と 3 です。ところが締めが遅い会社では、1 が終わらないために 2 に入れず、2 の途中で数字が合わないために 3 に時間が残らない、という詰まり方をしています。

つまり、月次決算の遅さは経理の処理速度の問題ではなく、情報が集まる順番と、集まったかどうかが分かる仕組みの問題です。まずは、どの地点で止まっているのかを切り分けます。

地点① 現場の日報・出面が、月末にまとめて出てくる

日報が紙やExcelで運用されていると、現場は「あとでまとめて書く」ことになりがちです。月末に 1 か月分がまとめて届けば、労務費と工数は月が終わるまで確定しません。

やっかいなのは、遅れていること自体が締めの直前まで見えないことです。誰の何日分が未提出かを数えられないと、経理は「全部そろったはず」という前提で集計を始め、あとから出てきた分をやり直すことになります。

  • 確認 前月の日報のうち、当日中に入力されたものは何%ありましたか
  • 確認 未提出の現場・社員を、月中に一覧で出せますか

地点② 協力会社・仕入先の請求書が、締め日を過ぎて届く

外注費と材料費は、請求書が届くまで金額が確定しません。締め日を過ぎて届く請求書が毎月あると、経理は「まだ来ていない分がある」という状態のまま集計を進めることになります。

ここで効くのは、発注の段階でいくらの支払いが立つかを押さえてあるかです。予算に対する発注額と発注残高が分かっていれば、請求書が未着でも「あと何件・いくら残っているか」が数えられます。逆に発注が口頭やメールで完結していると、届いた請求書の束を数えるまで残りが分かりません。

  • 確認 今月の未着の請求書が何件・いくら残っているかを、月中に言えますか
  • 確認 請求書が届いてから支払データになるまで、何回入力していますか

地点③ 同じ数字を、原価側と会計側に二度入力している

原価管理システムと会計システムが別々だと、同じ請求書を二度入力することになります。手間が二倍になるだけなら、まだ人手で吸収できます。本当に時間を奪うのは、二つの数字が一致しているかを確かめる作業です。

弊社が導入をご支援した企業様でも、この確認作業が月次決算のほとんどを占めていた、という状況がありました。両者が合わないとき、どちらが正しいのかを追いかけるところから始めなければならないためです。

  • 確認 同じ請求書を、いくつのシステム・ファイルに入力していますか
  • 確認 原価側と会計側の数字が合わないとき、原因を特定するのに何時間かかりますか

地点④ 工事・部門への振り分けが、締めのあとに行われる

費用は発生した時点で「どの工事の、どの費目か」が決まっています。それにもかかわらず、振り分けを月末にまとめて行っていると、判断できる人が 1 人しかいない工程が締めの終盤に生まれます。

とくに、共通費・機械費・現場をまたぐ経費のように、按分の判断が要るものが残っていると、その人の手が空くまで締めは進みません。振り分けを入力の時点まで前倒しできれば、この待ち行列そのものが消えます。

  • 確認 工事・部門への振り分けを、誰が・いつ判断していますか
  • 確認 その人が不在のとき、締めは進みますか

地点⑤ 予算との差異を、締まってから確認している

ここが、締めを早める意味そのものにかかわる地点です。実行予算に対して原価がどれだけ進んでいるかを、締まったあとに初めて見る運用になっていると、分かったときには手を打てる時期を過ぎています。

月次決算は、過去の集計ではありません。進行中の工事が多い建設業では、月次の数字はそのまま次の判断材料です。利益率が想定より低い工事、増えている外注費、消化が遅れている受注残。これらは早く分かるほど、現場への指示や受注方針の見直しに使えます。

  • 確認 進行中の工事の予算超過に気づくのは、月次が締まる前ですか、後ですか
  • 確認 月次の数字を見る会議は、「数字を確かめる場」と「次を決める場」のどちらになっていますか

自社の締めを、5 地点で点検する

社内で書き出すときの確認表です。まずは日数を入れずに、担当者名と「詰まっているサイン」だけを埋めてみてください。どこに人が並んでいるかが見えます。

地点 何を待っているか 詰まっているサイン
① 日報・出面 現場からの提出 月末にまとめて出てくる/未提出が数えられない
② 請求書 協力会社・仕入先からの到着 未着の件数と金額を月中に言えない
③ 原価と会計 二重入力とその突き合わせ 数字が合わない原因を追う時間が読めない
④ 振り分け 工事・部門・費目を決める判断 特定の担当者が不在だと止まる
⑤ 差異確認 締めが終わること 予算超過に気づくのが翌月以降

5 地点のうち、自社がどこで止まっているかによって打ち手は変わります。 ①②は情報が集まる速さの問題、③は仕組みが分かれていることの問題、④は判断を前倒しできるかの問題、⑤は①〜④が片づいて初めて手をつけられる問題です。順番を飛ばして⑤だけを求めても、たいてい実現しません。

Sitrom-CCは、この 5 地点のどこに効くのか

Sitrom-CCは、工事原価管理と会計を一体で扱うシステムです。上の 5 地点に対しては、次のように働きます。

  • ① 日報・出面 … 現場がPC・スマートフォン・タブレットから入力します。作業内容、作業出来高、自社と協力会社の出面、機械・リース・車両の稼働、現場で発生した費用を、その日のうちに登録できます。出面に入れた工数と単価は、そのまま労務費として当日の原価に乗ります
  • ② 請求書 … 業者の請求書を見ながら受入を登録すると、工事の仕入・支払用の伝票・支払予定・仕訳がまとめて作られます。 請求書 1 枚につき入力は 1 回です
  • ③ 原価と会計 … 原価管理と会計が一体のため、原価側と会計側を突き合わせる作業そのものが発生しません
  • ④ 振り分け … 工事・費目は入力の時点で持たせます。費目はお客様ごとに設定でき、「リース品費」「燃料費」のような自社の呼び方のまま使えます
  • ⑤ 差異確認 … 工事台帳では、費目ごとに予算・発注額・原価(日報)・原価(請求)の 4 行を同じ表に並べ、予算に対する利益額と利益率を出します。締めを待たずに、進行中の工事を見られます

締めそのものも画面から行います。会計締処理では、年月と伝票種別を指定してその月の伝票を確定させます。 このとき、未承認の伝票が 1 件でも残っていると締められません。 「締める前に全部そろっているか」を人が数えなくてよい、ということです。

すべてを一度に置き換える必要はありません。会計・勤怠・給与など、すでに社内で動いているシステムを残したまま、工事の情報だけをSitrom-CCへ集めて必要なデータを渡す形も選べます(外部連携の記事でご紹介しています)。

なお、どの機能をどこまで使うかはご契約の範囲と設定によって変わります。「入れれば締めが半分になる」とはお約束できません。 どこが詰まっているかによって、効く順番も効き方も変わるためです。

実例:1 日半かかっていた月次締めが、半日で終わるようになりました

京都の太平工業株式会社様は、以前は販売管理システムと会計システムの二本立てで運用されていました。データ連携はあったものの手作業が多く、二つのシステムの数字が一致しているかを確認する作業に、親会社への報告期限までの時間をすべて使っていたといいます。

「以前は第4営業日に丸1日半かかっていた経理の月次締め作業が、今では半日で終わるようになりました。情報が一元化されたことで数字の精度も上がり、仕事の質そのものが向上しています」

導入前は受注残を手計算で出していたため、作成者ごとに 3 つの異なる数字が存在していたとも語られています。これは上の地点③がそのまま現れた状態です。

「これまでは締めのたびに数字を合わせること自体が仕事になっていました。今は、揃った数字を前提に次の管理や判断ができる。ここが大きく違います」

数字を作るための月次締めから、数字を使って判断する月次締めへ。詳しくは太平工業株式会社様の導入事例をご覧ください。

これは 1 社の実績であり、同じ日数になることをお約束するものではありません。もともとどこで止まっていたかが違えば、短くなる場所も幅も変わります。

まずは、自社の締め工程を書き出すところから

上の確認表を埋めていただくと、たいていの場合「①〜⑤のうち 2 つ」に時間が集まっています。そこが分かれば、システムを入れ替えるべきなのか、入力の順番を変えるだけで済むのかも判断できます。

「どこで止まっているかを一緒に整理してほしい」「うちの締めの流れで、どこまで短くできそうか知りたい」といったご相談から承ります。現在の締めスケジュール(何営業日目に何をしているか)と、お使いのシステムの一覧をお手元にご用意いただけると、より具体的にご案内できます。

ご相談はお問い合わせより承ります。

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